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2025年3月3日 15時25分
こんにちは、令和6年度正指揮者の増山です!
これまで寒い日が続いていましたが、3月に入り少しずつ暖かくなり、春が近づいているのを感じます。金沢大学ではまだまだ残雪があり、冬の面影も残っています。
さて、私はこの金沢大学吹奏楽団で2年間、指揮者として活動してきました。大学生にとって2年間という時間は決して短いものではなく、学生生活の半分をこの団の音楽づくりのために全力で打ち込むということは、私にとってはかなり大がかりなことでした。そんな指揮者としての仕事も、今月をもって最後となります。
私の指揮者としての最後のステージは、来る3月8日(土)に東京都のJ:COMホール八王子で開催される、「大学ジョイントコンサート2025東京公演」です。金沢大学は単独ステージにて、川上哲夫作曲の「ムービング・オン」、G.ホルスト作曲の「吹奏楽のための第一組曲」を演奏します。「ムービング・オン」は、今回のジョイントコンサートで最後の指揮を振るにあたり、私の強い意思をもとに選曲したものになります。この曲は、私が高校時代に恩師の指揮で演奏したことがあり、初めてこの作品に出会ってからずっと魅力を感じていました。学生指揮の最後に何かできるなら、この曲に挑戦して終わりたい!と思い、いざ練習を始めてみると…。とにかく難しい!奏者も指揮者もまだまだ苦戦中です。ちなみに、この曲に挑戦することを恩師に伝えると、「あの曲はかなり手強いですよ」と辛口コメントをいただきました。恩師の言葉の重みを痛感しつつも、それでも絶対いい演奏にしてみせる!と日々奮闘しています。
指揮者として活動した2年間を振り返ると、私はなかなか自分に自信が持てなかったなと思います。これまで経験の無かった指揮を新しく学び、団員の前に立って主体的に音楽をつくるのは簡単なことではありませんでした。どれだけスコアを読み込んで沢山の時間を費やしても、自信の無さから合奏の時間が近づいてくるにつれ段々と不安が大きくなって…。
しかし指揮台に上ってしまえば、とにかく団員の皆さんと音楽をつくることに必死で、時間は一瞬で過ぎてしまいました。私は毎回の合奏を自分のために録音しており、1人で落ち着いて奏者の音を聴き直すことや、合奏の進行や合奏中の言葉選びを振り返ることを心がけていました。これは自分の合奏力の向上・改善にとって必要な工程であるとは実感しつつも、自分が喋っているものを録音で聞くというのはかなりの抵抗があるため、録音を確認するときはいつも相当な覚悟を決めていました。
また、吹奏楽コンクールという、より良い結果が求められる勝負の場で先頭に立って音楽づくりをすることは何よりも怖かったです。過去の指揮者の先輩方と自分を比べてしまい、自分の至らなさに苦しくなることが何度もありました。それでも、何とかここまでやって来られたのは、団員の皆さんの温かい言葉や支えがあったからです。本番が終わると「この曲の指揮が良かった」「演奏していて楽しかった」と言っていただけたり、指揮者の任期満了にあたり「正指揮者になってくれて良かった」と言っていただけたり…。これらの経験は他の何事にも代えられません。私が指揮者を務めた2年間のなかで、少しでも何かしらの前向きな思いを抱いてくださっていれば、私はとても救われる気持ちになります。
私に貴重な経験を与えてくださったこの団と、団員の皆さんに心から感謝しています。また、日頃から当団を気にかけて応援してくださっている方々、当団を知り演奏会に足をお運びいただける方々など、全ての皆様へ感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。