金沢大学吹奏楽団 Kanazawa University Wind Orchestra

吹奏楽はやめられない!
2023年2月11日 19時00分

正指揮者の久々江です。2023年になり1か月経ちましたが、皆様、今年はどのような年にしたいですか?私は、大学生活最後の年、大学生のうちにやっておきたいことをすべてやり尽くしたいです。

さて、昨年12月24日、街はクリスマス一色に染まる中、第35回金沢大学吹奏楽団定期演奏会を開催しました。前日、金沢を襲ったクリスマス寒波。全国ニュースでも金沢市内の映像で持ちきりになったほどです。「ホワイトクリスマス」などかわいらしい言葉は全く似合わない大災害です。この寒波によって私たちも、非常に大変な思いをしました。トラックが雪道で立ち往生したり、「死ぬ――!」と叫びながら、でこぼこの雪道を車で送迎したり、リハーサルの開始時間が遅れたり、言葉では伝わらないほど、大変だったのです!

大変だったのは雪だけではありません。私たちを常に苦しめてきた新型コロナウイルスです。コロナの影響で、急遽出演できなかった団員もいます。その穴を埋めるため、急遽ソロを担当するようになったり、パートが変更になったりと、決して十分とは言えない準備で迎えたのが今回の定期演奏会でした。

私は、この定期演奏会で、2年間務めてきた正指揮者を引退しました。2年間はあっという間でした。しかし、その2年の中で、様々な困難や葛藤、喜びや楽しさもありました。
正指揮者になって一年目、「自分がこの団をまとめていくんだ」「自分がやりたいような音楽をしたい」。強く意気込んでいました。しかし、「自分が」ばかりを強く主張しすぎている自分は、あまり好きではありませんでした。

『自分』が大好きな自分が嫌い。

二年目になっても、正指揮者という立場が、自分自身を苦しめ、吹奏楽そのものも嫌いになっていきました。「少し吹奏楽から離れたい」。

そんな私の気持ちを少し変えてくれる転機がありました。九州で行われた全日本吹奏楽コンクール大学の部を見に行ったことです。私たちが目指していた舞台。実際に会場に着くと、「もしかしたら、この会場にいる人たちに、自分たちの演奏をきいてもらえていたのではないか」。そう考えると、悔しい気持ちでいっぱいになりました。しかし、その夢の舞台で繰り広げられる演奏は、コンクールという枠を超えて、音楽ができる喜びが存分に伝わってくるのです。すごく楽しそう。何でこんなにもいきいきと演奏できるのだろう。音が生き物のように温かい。自分の心が、形も質量もない音によって満たされていくのを感じる。

音楽は誰かに何かを伝えるもの。

この新鮮な体験が、不安な気持ちを払拭してくれるような気がしました。
今年の定期演奏会の3部、ドラゴンの年(2017年版)の2楽章。叙情的な旋律が特徴的で美しい楽章です。私は奏者のみんなにこう呼びかけました。「この旋律で、誰かに愛を届けてほしい。お付き合いしている人でも、家族でも、ペットでもなんでもいい。自分が愛するものに音で愛を与えてほしい。」
本番、私はこれまで支えてくれた奏者のみんなに感謝の愛をこめて振りました。私の愛がみんなに伝わったかどうかはわかりません。しかし、間違いなく会場は愛でいっぱいになったと思います。私たちの演奏が、聴いてくださる皆さんの心を満たすことができていれば幸いです。

そして、今回の演奏会で私の心に何よりも印象強く残ったのは、アンコールの「マツケンサンバⅡ」です。全くキャラではないようなことをしてしまいました(笑)。当団を指導してくださっている先生に、「踊って!」と言われ…。負けず嫌いが出てしまい「やってやろう!」と踊った結果、なんとアンコールのアンコール!皆さんに楽しんでいただけて何よりです!

はいっ!私の正指揮者人生はこれにて終了!
まだまだ語りたいことは山のようにありますが、最後に一言。
結局、指揮はやめられない!吹奏楽はやめられない!

 

追記:写真は今年の執行部で定演終わりに撮ったもの!みんなには感謝してもしきれないくらいお世話になりました。ありがとう!