金沢大学吹奏楽団 Kanazawa University Wind Orchestra

信じることで生まれる音楽
2022年9月18日 21時09分

こんにちは!正指揮者の久々江です。北陸吹奏楽コンクールから1か月が経って思うことを今回ブログに書きます。

今年のコンクールに対して、私は非常に強い思いをもっていました。何としても「全国大会出場」の夢を叶えたかったのです。昨年も私は、正指揮者としてコンクールに挑戦しました。当時のメンバーの意識は「全国大会に出場する」。これだけでした。北陸吹奏楽コンクール本番、楽しいだけでなく、演奏にも満足でき、自分たちのベストを尽くすことができました。しかし、目標としていた全国大会には出場できませんでした。自信を持って挑んでも越えられない高い壁を感じました。

どれだけ演奏が良くても、どれだけ本番が楽しくても、コンクールという勝負の場で負けたという悔しさだけが残ってしまいました。この悔しい思いを晴らすためには、もう一度正指揮者としてコンクールに挑戦するしかない、そう思い私はもう一度正指揮者としてこの団で頑張ることにしました。

しかし、たくさんの問題が立ちはだかります。が、これを話すと日が暮れるので、割愛します。その代わりに、自分が成長できたことを話したいと思います。

私は昨年、正指揮者としてコンクールに参加した身として、「去年と比べて~」「去年のほうが~」とすべて去年と比べてしまっていました。そのせいで、できていないところばかり目が行き、口調も強くなったり、焦りや諦めが態度に出ていたり、今思うと最悪です。団の雰囲気も悪くなっていき、演奏もうまくいかない、コミュニケーションもうまく取れない、悪循環でどんどん雰囲気が悪くなっていきました。

そんな雰囲気が変わったのは、6月に行った第20回サマーコンサートです。3年ぶり、しかも20回というメモリアルイヤーで、絶対に成功させなければという思いがみんなのなかにありました。5月、1年生を迎えて新たな体制でサークル活動が始まるとすぐに、新型コロナウイルスの影響で、何度も活動が停止になってしまいました。サマーコンサートまで1か月、練習できない日が続き、サマーコンサートを中止するかどうか考えることもありました。しかし、短い期間のなかでも、通常開催を決めたとき、みんなのなかでやるしかないという思いになりました。そして、サマーコンサートが成功に終わり、一つこのメンバーでコンサートを作ることができたことが、自分たちにとって自信になりました。

この成功を機に、自分自身も大きく変わっていきます。できるだけ、みんなの力を信じることにしたのです。自分が思い描くものとは遠くても、時間がかかってもやり遂げてくれる。そう信じました。それからは、練習はほとんど奏者に任せ、遠くから見守ることにしました。

信じることは演奏に大きな効果をもたらしました。音楽が生き物のように生き生きしてきたのです。学生指揮で合奏すると、どうしても合っていないところに目が行ってしまいますが、技術面だけを完璧にしても、人に届く演奏はできません。演奏者からあふれてくる何かが人の心を動かします。そのエネルギーがみんなから湧き出てくる、そんな音楽が生まれました。自分自身の成長が、音楽を成長させることにもつながるのだと感じました。

そして、もう一つ。今年、課題曲として取り組んだ「ジェネシス」からはたくさんのことを学びました。「ジェネシス」を理解することは容易ではありませんでした。一つ一つの旋律に意味があり、和声進行にも工夫が盛りだくさんで、スコアは真っ黒になってしまうほどでした。どれだけ突き詰めても正解はなく、自分達らしさを表現することができたのも、人の心を動かす音楽を作ることにつながったのだと思います。まさに、吹奏楽の教科書だと思っています。

最後に、今年もう一年、正指揮者としてコンクールに挑むのは、本当に大きな覚悟が必要でした。しかし、それを支えてくれた団員の皆さん、OBの皆さん、先生方、金沢大学吹奏楽団を支えてくれているすべての皆さんのおかげで、正指揮者としてコンクールを終えることができました。ありがとうございました。

正指揮者としての最後のステージ、定期演奏会にむけて頑張りますので、ぜひお越しください!